「大人のプレゼン術 自分と相手がワクワクドキドキする10か条」= 夢を伝える技術

この本は、"プレゼンに臨む態度"の指南書だといえる。

どうすればプレゼンター(自分)と聴衆双方の利益を最大化できるか、つまりWin-Winな結果をもたらずプレゼンテーションができるか、という一貫したテーマがこの本からは感じられる。

そのために、最も大切なことが「夢の力」だという。

ワクワクする夢を提供できれば、そこに想像以上の人が参加してくれるのだということを私は知りました。

(中略)

「こういう状況が実現するといいと思っています」と人に話すときは、その裏に「私は何がやりたいのか」「なぜそれをやりたいのか」ということが隠されています。
そこと、しっかり結びついた話ができれば、やる気と必死さがストレートに伝わり、聞いてくれる相手は迫力を感じます。

しかし、夢だけではプレゼンはできない。気持ちだけが突っ走るプレゼンは、プレゼンターが話したいことを怒涛のように喋り、往々にして何を言いたいのかわからなくなる。そのためには、「ロジカル&ヒューマンタッチ」が重要である、と本書は説いている。

プレゼンは、ロジカルじゃないと安心できません。
でも、心から心に訴えかけないと感動は生まれません。相手が動く気になってくれません。
ロジカル&ヒューマンタッチ。
二つの矛盾するものをうまく意識して混ぜることが、最強のプレゼンを実現する方法です。

プレゼンのテクニカルな面についても触れられてはいるものの、本書で重視されているのは「どのような気持ちでプレゼンに臨み、聴衆に語りかけるべきか」ということに尽きる。この類のプレゼンの本はそんなに数が出ていないのではないだろうか。数少ない「プレゼンの態度」についての本として、貴重な一冊ではなかろうか。

そのため、プレゼンの技術的なことを期待して本書を読むとガッカリするだろう。自分も最初はプレゼンの技術の本として見ていたため、内容が薄いという印象しかなかったが、途中でプレゼンの心の本だと気がついてからは楽しく読むことができた。また、プレゼンに関係なく、読んでいると著者の方の夢に対する純粋で熱い思いから元気をもらえるので、落ち込んでいるときに読みたいと思える本でもある。

夢を持つ全ての人にお勧めしたい。

※ 補足
この本はビジネス色が強いので、アカデミックなプレゼンとは異なる前提で書かれている部分がある。といっても、大半はジャンルを問わずプレゼンのスキル向上に役立つことは間違いない。

次の本

プレゼンテーションの極意

プレゼンテーションの極意

1/31までには読みたい。