I'm reading "The Little Schemer".

The Little Schemer が面白い。どうやったらこんなに面白くLispの本が書けるのか、というくらいに面白い。

The Little Schemer にはlispへの愛が詰まっている。この本は、Lispの入門書じゃない。Lispを愛でる本だと思う。Schemeを始めてまだ2ヶ月ぽっちの自分には、Lispの何たるかとか、まだよくわかんないけど、それでもそう感じるのだからそうなんだろう。きっと、今よりももっとLispを理解したときに、もう一度読むと新たな味わいがあると思う。この本をより楽しむために、Lispをもっと知りたい、と思わせるものがある。

The Little Schemer にはLispの心がある。キリスト教で言えば、聖書みたいなもんじゃないだろうか*1Lispの心を持ってLispを読める本である。Lispは実用的じゃないからどうのこうのとか、実行速度がどうのこうのとか、そんな瑣末なことを忘れさせる美しさがある。もうね、実用なんてどうでもいいじゃないかと。芸術なんですよ。8章のLambda the Ultimate 読めと。あの華麗なる抽象化のステップを鑑賞しろと。感動的なまでのエレガンスがあるから。

The Little Schemer を面白くしている秘訣は、その特異なストーリーの展開方法にあると思う。ストーリーは常に2人の登場人物の対話で進む。名前も2人の関係も何も分からない。対話形式と言っても、先生と生徒、とかそんなベタなものではない。なんともつかみどころの無い、そして絶妙なテンポでストーリーは進んでゆく。常に質問を投げかけるMr. Leftcolumn(ページの左側の人)と、それに答えるMr. Rightcolumn(ページの右側の人)。

The Little Schemer を面白くしているもう一つの秘訣は、その sense of humor にあると思う。かわいいゾウさんの挿絵、絶妙な幕間、The Ten Commandment *2などなど。これらが見事に調和して、独特の世界感を生み出している。読みながら没入感に浸れる数少ない本の1冊である。

"Go cons a piece of cake onto your mouth. If you got the last function, go and repeat the cake-consing."

The Little Schemer (The MIT Press)

ちなみにこの表紙、よく見ると再帰的になっている(この画像だとわかりにくい)。

*1:キリスト教とかそこらへんよくわかんないけど

*2:聖書の十戒のパロディ。やっぱりこの本はLispの聖書だ!